第101章

朝比奈澪は、胸の奥にひやりとした不吉な予感が走った。

少し迷った末、それでも通話ボタンを押す。

「……もしもし?」

「朝比奈澪。いい度胸だな。山を下りてどれだけ経つと思ってる。どうして俺に一言もない」

受話口から聞こえてきたのは、聞き慣れた声だった。澪の心臓が、どくんと跳ねる。

彼女は反射的に通話を切り、胸に手を当てて深く息を吐いた。

桐生晴臣――先輩だ。

下山してからの出来事を、もう掴まれている。そう思うだけで背筋が寒い。

澪は唇を尖らせた。まさか、こんな短時間で連絡先まで割り出すなんて。

対策を必死に考え始めた、その時。

スマホが再び鳴った。

画面に表示された見覚え...

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