第11章

使用人たちは一斉に固まった。

――この女、いったい何者だ?

神宮寺玲央は、朝比奈澪へ向けられる好奇と警戒の入り混じった視線に気づくと、さりげなく一歩前へ出て、彼女を背に隠すように立った。

「祖父は? 用がある」

使用人は我に返り、声を裏返らせる。

「しょ、書斎に……ございます」

玲央は背が高く、姿勢は真っすぐ。冷えた面差しのまま、近づくだけで空気が凍るような圧を纏っている。覗き見など許さない――そう言わんばかりだった。

彼は周囲を一瞥し、淡々と告げる。

「俺の妻だ。朝比奈澪」

低く掠れた声。妙に艶があるのに、言葉そのものは氷の塊みたいに冷たい。

使用人たちは心臓を掴まれた...

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