第112章

「お父さま、急すぎない? どこへ行くの?」

藤堂静香は箸を置き、眉間にしわを寄せた。

食卓にいた全員の視線が、神宮寺宗一郎へ集まる。

宗一郎は低い声で説明した。

「旧友に数日付き合えと言われてな。ついでに、商談もまとめてくる」

宗一郎はすでに第一線を退いている。だが、必要とあらば会社の案件に手を出すこともある。

長年の商いで築いた人脈は、神宮寺玲央たち若い世代とは桁が違う。

今回会う相手は、G国の商界を牛耳る大物だ。

両社が手を組めば、神宮寺ホールディングスはさらに一段、格を上げるだろう。

「そういうのは若い子に任せればいいじゃない。どうしてわざわざ、お父さまが出向くのよ」...

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