第16章
ほどなく眠気が押し寄せ、朝比奈澪はふぁ、と欠伸をひとつして、そのままゆっくり眠りに落ちた。
朝比奈澪は知らない。彼女が寝入ったあと、隣でとっくに眠っているはずの神宮寺玲央が、静かに瞼を持ち上げたことを。
玲央は横を向き、澪の寝顔を見つめる。唇の端がわずかに上がった。
「おやすみ」
すぐそばから漂う、かすかな薬草の香り。
常に不眠に悩まされてきた神宮寺玲央が、今夜は不思議なほど早く眠りへ沈んだ。
毒のせいで、ここ数年ずっと玲央は激しい痛みに苛まれていた。深夜は決まって、息が詰まるほどの発作が来る。
だが今夜は――春華丹が効いたのか、それとも冷え切った部屋にひとりではないからなのか...
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