第21章

朝比奈澪は口の中の小骨をぺっ、と吐き出して脇へ寄せると、その魚料理にぱたりと興味を失った。

師匠と長く一緒にいたせいで、面倒くさがりな気質まできっちり受け継いでしまったのだ。

小骨の多い魚。殻をむかなきゃ食べられない海老や蟹。昔の彼女なら、ほとんど手を出さなかった。

神宮寺玲央が箸を置き、眉を寄せて澪を見る。

そのわずかな動きだけで、食卓の全員が反射的に息を止めた。

神宮寺家の人間なら誰もが知っている。神宮寺玲央がいちばん嫌うのは、口数の多い人間だ。

これまでの食卓は、いつだって静寂だった。聞こえるのは食器が触れ合う音と、咀嚼の気配だけ。

朝比奈澪が来てから、空気が変わった。

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