第35章

「旦那さま、私は平気です。白川さんのこと、責めないであげてください。ミルクティーを買いに行かせるなんて……確かに、あの人には屈辱だったでしょうし」

朝比奈澪はふるふると首を振った。涙が目尻から頬へすべり落ちるのに、平気なふりを崩さない。

痛々しいほど健気で――見ているほうが胸を締めつけられる。

白川玲奈は目を見開いたまま固まり、怒りで言葉を失った。

神宮寺玲央の冷えた視線が白川へ流れる。そこには、目に見えない殺気が混じっていた。

「やりたくないなら、さっさと消えろ」

白川玲奈は必死に首を振り、堪えていた涙が一気に溢れ出す。

今度は、本当に泣いていた。

決壊した波みたいに涙が止...

ログインして続きを読む