第43章

さらに三十秒が過ぎても、神宮寺玲央の眠気は一向に訪れなかった。

彼は隣で眠る朝比奈澪を横目で見て、少し考える。やがてそっと澪の小さな頭を持ち上げ、自分の腕を横に差し入れた。彼女の頬が、自然とその腕に落ちる。

それを確認してから、玲央は満足そうに小さくうなずく。

目の前には、触れれば壊れてしまいそうな柔らかな頬。胸の奥が、どっと波立った。

玲央は身を寄せ、澪のつるりとした額に、かすかに口づける。低い声はやさしく、熱を含んでいた。

「おやすみ」

……

朝比奈澪は、神宮寺玲央がそんなことをしていたなんて露ほども知らない。ただ、この夜はいつもよりずっと心地よく眠れた――それだけだった。...

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