第48章

神原雅臣は、望月和也と水野綾香の言葉を聞き取れなかった。だが――「芸能界に入る」という単語だけは、やけに鮮明に耳に残った。

朝比奈澪が黙ったままだったので、神原雅臣は「自分の名前を知らないのだ」と早合点する。慌てて胸を張り、自己紹介を始めた。

「そうだ。俺、神原雅臣。神原家って聞いたことある? ほら、君が想像した、その神原家!」

さらに勢いづく。

「うちは芸能事務所をやってるんだ。君さえ望むなら、会社の一番いい枠、全部回してやれる」

――この瞬間ほど、家が芸能関係でよかったと思ったことはない。

朝比奈澪は、まるで自分の好みのために作られたみたいだった。

目も、鼻筋も、唇の形も。...

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