第64章

神宮寺玲央は長年ビジネスの最前線で揉まれてきた男だ。纏う圧と空気が段違いで、付き従って久しい秘書の自分でさえ、正面から受ければ息が詰まることがある。

まして、世間知らずの小娘が耐えられるはずもない。

案の定――早川隼人の予想どおり、その少女は肩をびくりと震わせたかと思うと、次の瞬間には堰を切ったように泣き出した。

だが、神宮寺玲央は涙で手心を加えるような男ではない。

泣こうが喚こうが、追及の手を緩めない。

「言え。やったくせに、知らん顔か?」

一歩、また一歩。逃げ場を削るように距離を詰め、鷹の眼みたいな視線で少女を射抜く。

視線がぶつかった瞬間、少女の足から力が抜けた。へたり込...

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