第65章

「神宮寺家は、世を思いのままにできるほどの力はない。だが――神宮寺の一族に手を出す者がいるなら、絶対に黙ってはいない」

いつもは柔和な顔を崩さない神宮寺蓮司が、冷えた表情のまま母娘を一瞥した。

口調はあくまで静かで、ゆっくりとしている。なのに、言葉の端々に得体の知れない冷たさが滲む。

母娘はぞくり、と肩を震わせ、慌てて視線を落とした。もう一言も出てこない。

一方、神宮寺玲央は朝比奈澪を抱えるようにして車へ戻り、助手席に座らせると、そっと頭を撫でた。

「今日は、嫌な思いをさせたな」

「嫌な思いなんてしてないよ。ちゃんと仕返ししたもん!」

朝比奈澪はにこっと笑い、頬に小さなえくぼを...

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