第78章

まさか――結局、朝比奈家にいいように持っていかれるなんて。

……いつか取り返せるのかな。

朝比奈澪は、胸の奥でひっそりとそう思った。

朝比奈蓮は顔を強ばらせ、壊れたままのあの携帯電話をふと思い出す。

「朝比奈澪。どうして、今まで言わなかったんだ」

蓮は澪を見た。瞳の奥に、はっきりとした後悔と罪悪感が滲んでいる。

彼は知らなかったのだ。澪が朝比奈家で、使用人以下の扱いを受けていたなんて。

もし彼女が言ってくれていたなら――。

「くくっ……」

澪は堪えきれず、腰を折って笑った。まるで、とんでもない冗談でも聞かされたみたいに。

鈴が転がるような澄んだ笑い声が蓮の耳にまとわりつく...

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