第82章

「ええ。神宮寺お嬢さま、ほかにご用がないようでしたら、私はこれで失礼いたします」

ヴィヴィアンはくすりと笑い、踵を返して神宮寺邸を後にした。

その背中を見送りながら、神宮寺美琴は拳をぎり、と握り締める。

「朝比奈澪……あんた、クズ!」

二階の部屋で、朝比奈澪がドレスを脱ごうとしていた時だった。廊下の向こうから、耳障りな怒鳴り声が飛んでくる。

澪は眉をひそめ、急いで洗面所から出た。

勢いよく扉が開き、神宮寺美琴が怒気をまとったまま寝室へ踏み込んでくる。入って早々、澪が身にまとっているイブニングドレスを見た瞬間――美琴の目がぎらりと濁った。

嫉妬と憎悪が、顔にそのまま浮いている。

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