第6章

綾辻穂弥視点

夕方六時、私は神崎空の車の助手席に座り、運転する彼の真剣な横顔を見ていた。今までに感じたことのない安心感に包まれていた。

昨夜、夜が明けるまで彼と一緒に仕事をして、完全に信頼され、頼りにされているという感覚――それは、前の人生では一度も経験したことのないものだった。

私たちはようやく、本当の夫婦として、共に戦っているんだ。

「何を考えてるんだ?」

神崎空がちらりと私を見て、口の端をわずかに上げた。

「あなたのことを」

思わず言葉が口をついて出て、頬が熱くなるのを感じた。

神崎空は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐにさらに明るい笑顔になった。

「光栄...

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