第8章

綾辻穂弥視点

翌朝、私は予定通り妊婦健診のために病院へ向かった。神崎空も付き添ってくれるはずだったが、緊急会議で足止めされてしまったのだ。

「定期健診に行くだけよ。すぐに戻るわ」

私は彼を安心させるように言った。

「護衛だってもう付けてくれてるじゃない」

神崎空は眉をひそめた。

「君を一人で外出させるのは、どうも落ち着かない」

「大丈夫よ」

私は背伸びをして彼の頬にキスをした。

「忘れないで、私は生まれ変わったの。危険が来る前に察知できるわ」

だが、私は間違っていた。

とんでもない間違いだった。

病院の地下駐車場で、車に鍵をかけた直後だった。背...

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