第9章

綾辻穂弥視点

真っ白な天井、ツンと鼻を突く消毒液の匂い、そして耳元で微かに聞こえる機械の電子音。

ゆっくりと目を開けると、頭が大きなハンマーで殴られたかのようにズキズキと痛んだ。

「ここは……」

喉は砂漠のように乾ききっていて、かろうじて言葉を絞り出す。

「病院?」

「綾辻さん、ようやくお目覚めですか!」

隣から優しい声がした。

痛む首をゆっくりと巡らすと、ピンク色のスクラブを着た若い看護師が、心配そうな顔でこちらを覗き込んでいた。名札には「倉持芽瑠」とある。

「私、どのくらい……?」

起き上がろうとしたが、全身がトラックにでも轢かれたかのように痛んだ。

...

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