第10章

黒宮卓海も凛奈の言葉を聞いていた。顔に一瞬、後ろめたさがよぎる。だが、口調だけは妙に荒く、冷え切っていた。

「何ぼさっとしてんだ、さっさとやれよ! 俺たちの付き合い、そんな薄っぺらいのか? ちょっと煽られた程度で俺を疑うってのかよ!」

「そうだ! 卓海さんが俺らを騙すわけねえ! みんな、その女の口車に乗るな!」

チンピラたちが我に返った、その瞬間。

さっきまで包囲の真ん中にいたはずの凛奈が、もう何十メートルも先へ走っているのが見えた。

やられた……!

「捕まえろ! 全員、報奨金だ!」

黒宮卓海の号令ひとつで、チンピラたちが一斉に凛奈へ殺到する。数歩もいかないうちに、再び彼女...

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