第12章

神野怜司は契約書を机に置いた。

「……これで、俺の厚意を受け取ってくれるよな」

「私はね、才能のある画家が閉じ込められてるのを見るのが嫌なだけ。あなたには、あなたの広い空がある」

「この契約は鎖にならない。むしろ、君が自由に描けるよう守るためのものだ」

そこまで言われて、凛奈もこれ以上は突っぱねなかった。ペンを取り、さらさらと自分の名を書き入れる。

それから数日。ネット上の騒ぎも少しずつ鎮まり、凛奈はようやくアトリエへ足を運ぶ時間を作れた。

階下に降りたところで、ちょうど神野怜司と鉢合わせる。二人で顔を見合わせ、話の流れで一緒にアトリエを見に行くことになった。

ドアを開けた瞬間...

ログインして続きを読む