第17章

「お姉ちゃん、起きた?」

凛奈が目を覚ましたのを見るなり、黒宮司奈は慌てて身を寄せた。

さっきバスが急ブレーキをかけたのは、田舎道に突然シカが飛び出してきたからだ。運転手がいったん降りて車体をひと通り確認し、異常なしと分かってから再発進。車内では揺れで数人が起きたものの、すぐにそれぞれ席へもたれ、また寝息を立て始めた。

凛奈はわずかに眉を寄せ、司奈を見る。

「……何か用?」

「用なんてないよ。ただ、起きたからおしゃべりしたいなって……」

黒宮司奈は凛奈を見つめた。

自分が黒宮家の人間とあまり似ていないことは分かっている。けれど凛奈は違う。

凛奈は幼い頃から孤児院で育ったはずな...

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