第30章

神野怜司は、凛奈が自分の手を引いているのを呆然と見つめた。頭の中が真っ白になる。

彼女が……俺を引っ張った?

凛奈は彼の固まりっぷりに気づきもしないまま、手を掴んでさっさと外へ連れていく。

神野怜司は引かれるがまま、足元がおぼつかないままついていった。

身体がふわふわしている。

黒宮卓海は二人がそのまま行ってしまうのを見て、瞬間、頭に血が上った。

「黒宮凛奈! 止まれ!」

怒鳴り声を上げ、勢いよく駆け寄る。

「部屋を替えろって言っただろ、聞こえなかったのかよ!」

数歩で凛奈に追いつき、肩を掴もうと手を伸ばした。

後ろでは黒宮司奈が、してやったりの笑みを浮かべている。

黒...

ログインして続きを読む