第33章

黒宮卓海は襟首をつかまれ、息が詰まった。

「お、おい……離せ!」

必死に神野怜司を押し返そうとするが、びくともしない。

そこでようやく気づく。神野怜司は一見、物腰の柔らかい優等生風なのに――やたらと腕っぷしが強い。

絶対、何かやってる。鍛えてるに決まってる。

そう悟った瞬間、黒宮卓海の心はあっさり折れた。

「わ、わかった! もう言わない! 言わないから、それでいいだろ……」

「収録中だぞ」

神野怜司は鼻で笑い、手を放した。

黒宮卓海はよろけて数歩下がり、首元を押さえてげほげほと咳き込む。顔を上げて怨めしそうに神野怜司を睨むが、もう口は開けなかった。

神野怜司はそれ以上相手...

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