第60章

神野怜司は、これ以上小川梅子と無駄口を叩く気もなく、踵を返して出ていった。

「証拠はしっかり押さえておけ。あいつがまた例のアカウントに連絡して、記事を出し続けないようにな」

「はい、神野社長」

神野怜司は振り返りもしない。小川梅子の家を出ると、背後からは凄惨な泣き声と甲高い悲鳴が追いすがってきたが、聞こえないふりをして車に乗り込む。

「出してくれ」

車はゆっくりと住宅街を抜けていった。神野怜司はスマホを取り出し、凛奈にメッセージを送る。

【もう寝たか?】

【まだ。お風呂上がったところ。どうしたの?】

【いや、念のため。小川梅子がお前の悪評を買って流そうとしてた。俺が止めた】

...

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