第61章

「私が足を引っ張ってるって?」小川梅子は信じられないという顔で彼を見た。「全部、あなたのためにやったのよ! 凛奈をどうにかするためじゃなかったら、黒い原稿なんて買わない。神野怜司を敵に回したりもしない。こんなことになってるはずがないでしょ!」

「全部あなたのため! 見捨てないでよ!」

「俺のため?」西島真尾は、とんでもない冗談を聞かされたみたいに鼻で笑い、梅子を見る目に露骨な侮蔑を滲ませた。

「いじめ、脱税、横領、不倫……それが全部、俺のためだって?」

「小川梅子、いい加減笑わせるのやめろよ」

その言葉は刃物みたいに、容赦なく梅子の胸に突き刺さった。

梅子は西島真尾を見つめた。ま...

ログインして続きを読む