第62章

男は足を止め、ポケットから黒い名刺を一枚取り出すと、小川梅子の目の前へ差し出した。

「復讐したいなら、これを持って行け。このメディア会社の小川さんを訪ねるんだ」

小川梅子は一瞬きょとんとして、視線を落とす。

名刺にあるのは、名前と電話番号、それからメディア会社の社名だけ。聞いたこともない会社だった。

「小川さん?」梅子は顔を上げ、訝しげに男を見る。「あんたが手伝ってくれるんじゃないの?」

男はふっと笑い、眼鏡を指で押し上げた。

「俺は表に出られない」淡々とした声で言う。「彼のところへ行け。俺に言われて来たと言えば、力を貸す」

「いいか。三日後、そのリアリティ番組が収録を再開する...

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