第65章

凛奈はもう彼女を見ようともせず、踵を返してホテルの中へ歩き出した。

二歩ほど進んだところで、ふっと足を止める。振り返りもしないまま、言葉だけを投げ捨てた。

「帰って黒宮京介に伝えといて。こんな下品な小細工、二度とやるなって。ここで芝居してる暇があるなら、会社の穴をどう埋めるか考えたら?」

「次、また私にちょっかい出したら……暴く程度じゃ済まさない」

神野怜司は背後の警備員へ指示を飛ばした。声は氷みたいに冷たい。

「二人とも警察に連れて行け。迷惑行為にプライバシー侵害だ。然るべき処理を。情けは要らない」

「はい、神野社長」

警備員が返事をし、顔面蒼白の黒宮司奈と記者を両脇から抱え...

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