第69章

凛奈は、彼がぼんやり突っ立っているのを見て、少し首をかしげた。

手を上げ、目の前でひらひらと振ってみせる。

「ねえ?」

凛奈が声をかける。

「どうしたの? 固まってるけど」

すらりと長い指。

神野怜司は反射的に手を伸ばし、その手をぎゅっと握りしめてしまった。

「うん」

神野怜司の声は少しかすれていて、握った手を離さない。

手を握られた凛奈は一瞬きょとんとして、それからくすっと笑った。

「神野社長、何見てたの? 見とれてた?」

凛奈がからかう。

神野怜司はそこでようやく我に返り、気まずそうに咳払いをした。

「……別に」神野怜司は視線をそらす。「きれいだと思っただけだ」...

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