第74章

「誰がクズだって?」

凛奈はドア枠にもたれ、肩で息をしていた。髪には換気ダクトの埃がこびりつき、頬には黒い擦れ跡が一本。それでも視線だけは氷みたいに冷たい。

黒宮司奈はぎょっとして手を引っ込め、ベッドの縁から転げ落ちそうになる。

どうしても理解できなかった。更衣室に鍵を掛けて閉じ込めたはずの凛奈が、なぜここにいるのか。

黒宮司奈は平静を装い、顎を持ち上げて凛奈を睨みつけた。強がっているのが見え見えだ。

「……なんで来たのよ」

「なんで来たかって?」凛奈は小さく笑い、足を踏み入れる。「もちろん、会いに来たの。妹にね」

その視線がベッドの上の神野怜司をなぞった瞬間、凛奈の足がぴたり...

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