第173章 全員肝を冷やす

天宮星羅は呆然と、目の前にしゃがみ込んでいる男を見つめていた。

骨の髄まで刻み込まれたその見慣れた顔立ちが、路地裏の薄暗い陰影の中で、まるで彫刻のように鋭く際立っている。

銃声の轟音がまだ耳の奥で反響し、鼓膜がジンジンと痺れていた。

「私なら、大丈夫」

彼女は首を横に振った。その声は頼りなく、死地を脱したばかりの微細な震えを帯びている。

黒崎蓮の視線が、彼女の赤く腫れた手首の上で一瞬止まる。

その底知れぬ黒い瞳の奥で、破壊的な嵐が渦巻こうとしていた。

彼はそれ以上何も問わず、ゆっくりと立ち上がり、振り返った。

氷のような、一片の温度さえ感じさせないその視線は、実体を持った刃と...

ログインして続きを読む