第218章 発砲

「二」

黒崎蓮の指が、引き金にかかった。

その瞳は鉄のように冷たく硬質で、一片の温もりさえ感じさせない。今すぐにでも、躊躇なく一つの命を終わらせるであろう冷酷さを湛えていた。

対する天宮直人の表情は、水面のように静まり返っていた。

向けられた漆黒の銃口を前にしても、彼は微動だにしない。ただ、注射器を握る指先だけが、恐ろしいほど安定していた。

埠頭には、風の音と波の音だけが響いている。

一触即発の、その刹那。

一本の白く華奢な腕が、稲妻のような速さで横から伸びてきたかと思うと、天宮直人の手から注射器をひったくった。

その予期せぬ事態に、その場にいた全員が息を呑む。

天宮直人の...

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