第219章 彼を殺すなら先に私を殺せ!

銃声は一発ではなかった。ほぼ同時に重なる二つの破裂音。

天宮直人の小型拳銃から放たれた弾丸は、黒崎蓮の眉間を貫くことはなかった。

天宮直人が腕を上げた刹那、長年の死線で磨かれた黒崎蓮の直感が、猛然と体を横へ逸らせたのだ。

弾丸は頸動脈をかすめ、彼の肩で血煙を上げさせた。

ほぼ同時に、黒崎蓮の銃も火を吹いた。

それは脳の指令を待たない、純粋な筋肉の記憶による反撃だった。

天宮直人の胸の奥底から、押し殺したような呻き声が漏れる。

その巨体が激しく震え、制御を失って後ずさる。腹部からは瞬く間に鮮血が溢れ出し、海水に濡れていたコートの色を、さらに深く、重く沈めていく。

「兄さん!」

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