第28章 西園寺麗華との再会

ロールス・ロイスの後部座席は広々としている。だが今は、静まり返り、呼吸音さえもがやけに鮮明に響いていた。

車内の空気は重く淀み、息が詰まるほど張り詰めている。

黒崎蓮はステアリングを握りしめ、前方を凝視している。その顎のラインは、極限まで強張っていた。

ルームミラーには、親密に寄り添う母子三人の姿が鮮明に映し出されている。

彼らの間だけで世界は完結していた。

対して自分は、そこに入り込む余地のない、場違いな異物に過ぎない。

敗北感。

またしても、この忌々しい、どこまでもまとわりつくような敗北感が襲ってくる。

自ら運転手役を買って出るという譲歩を見せたにもかかわらず、得られたの...

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