第284章 私の命を、彼の命と引き換える

鈍い衝突音が響き渡った後、オペラハウスの中には死のような静寂だけが残された。

黒崎蓮の拳は血まみれで骨が露出するほど悲惨な状態だったが、特殊合金製の扉にはかすり傷一つついていない。

天宮直人は懐中電灯を向け、部屋の隅で装飾品に偽装されていたジャミング装置を照らし出した。

「俺たちがここに足を踏み入れた瞬間から、敵の罠だったというわけだ。奴らの真の狙いは、昴だったんだ」

「あいつは……殺される」

黒崎蓮は、苦しげに喉仏を上下させた。

天宮直人は何も答えない。ただ、行動でそれを示した。

二人は建物の構造に関する専門知識と記憶を頼りに、舞台裏の楽屋の天井にある点検口をすぐさま見つけ出...

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