第294章 一生

リクの病気は、熱が出るのも早ければ引くのも早かった。

父親が常にそばにいることで、大きな安心感を得たのだろう。翌日にはすっかり高熱も下がっていた。

それ以来、彼は以前にも増して黒崎蓮にべったりと懐くようになった。

そして、天宮家に大波乱を巻き起こすある出来事が、ごく自然な流れで起きたのだ。

黒崎蓮が「療養に不便だから」「子供の世話をするため」という理由をつけ、天宮星羅の無言の許可を得て、一時的にAresプライベート病院から退院し、天宮家本邸の客間に住み込んだのである。

この知らせは、天宮直人の逆鱗に触れた。

その日の午後、直人は会社から足早に帰宅した。空気を氷の刃に変えてしまいそ...

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