第32章 次兄

別荘を後にした天宮星羅は、一刻も無駄にすることなく車を走らせ、フォトスタジオへと向かった。

広々とした空間は、極限まで無駄を削ぎ落としたミニマルなインダストリアルスタイルで統一されている。プロ仕様の機材はすでにすべての調整を終え、所定の位置で静かに主の到着を待っていた。

ここから始まるのだ。彼女自身のこの手で、自分と子供たちのために新たな城を築き上げる戦いが。

だが、ふと何気なく窓の外へ視線を走らせた瞬間、星羅の顔から笑みが凍りついたように消え失せた。

視線の先にあったのは、正面にそびえ立つ摩天楼だった。

全面を青いガラスのカーテンウォールで覆われたその巨塔は、星羅がいる建物よりも...

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