第38章 体は正直

「お待たせー! コーヒー入りましたー!」

一触即発の空気が漂う中、口笛交じりの軽快な足音が入り口から響いてきた。

一条拓海は満面の笑みを浮かべ、全員分のコーヒーを手に颯爽と入ってくる。

だが、スタジオ内に充満する張り詰めた空気、とりわけ天宮星羅と黒崎蓮の二人が浮かべる瓜二つの氷のような表情を目にした瞬間、その笑顔は凍りついた。

(最悪だ! またやってるよ……)

一条拓海は心の中で頭を抱えた。

どうりで今朝、黒崎蓮が強引に自分を連れてきたわけだ! 衝突することを見越して、緩衝材代わりの生贄を用意したってことか!

ただの一般株主に過ぎない俺が、なんで毎回この二人の板挟みにならなきゃ...

ログインして続きを読む