第85章 堂に登り室に入る

デザイン部は奇妙な静寂に包まれていた。

それまで中立を保ち、どちらの派閥にも属さなかった数名の若手デザイナーたちが顔を見合わせている。やがて彼らは意を決したように、天宮星羅のオフィスのドアをノックした。

先頭に立った女性デザイナーが、崇拝の眼差しを向ける。

「天宮ディレクター、さっきは凄かったです! 石子寿江たちは普段から徒党を組んで新人をいじめていたので、私たちはもう耐えられないと思っていたんです!」

別の男性デザイナーもそれに続いた。

「そうです! 三穂寿樹の図面に対する指摘も的確で、聞いていて胸がすく思いでした! ディレクターこそ、真にデザインを理解している方です!」

天宮...

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