第8章
私は両親のことを思い出した。
七年前、私たちが結婚したまさにその年、両親はそろって医療事故で亡くなった。当時の報告書には「薬物アレルギーによるアナフィラキシーショック」と記されていたが、私はずっと、分厚いファイルの底に澱のように溜まった違和感を拭えずにいた。その病院は、聖光医療グループ傘下の分院。今、私たちがいる聖光総合病院と同じ系列だ。
記憶の扉が開く。あの頃、悲しみに打ちひしがれる私を、誠治は力強く抱きしめ、髪を撫でながら誓ったのだ。
「綾音、君のご両親の無念は、俺が必ず晴らす。約束する」
当時は、ただの優しい慰めだと思っていた。だが、違った。あれは慰めなどではない。彼...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
12. 第12章
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