第百章

病室の前で、蓮は苛立ちを隠せないままウロウロと歩き回っていた。中から話し声が聞こえてくると、たまらずドアに耳を近づける。

「病人のくせに、他の男と談笑する余裕はあるのかよ……」

蓮は不満げに呟いたが、胸の奥はまるで火で炙られているかのように、ひどく掻き毟りたいほどの不快感に襲われていた。

――ええい、構うものか。俺こそがあいつの法的な夫であり、一番そばにいるべき人間なんだ。

そう思い至ると、蓮は即座に背筋を伸ばし、ドアを押し開けて足を踏み入れた。

「あの時、見間違いかと思ったけど、やっぱりあなただったのね……」

紬の言葉がふいに途切れた。入ってきた蓮を見て、無意識に眉をひそめる。...

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