第104章

翌日の早朝、病院の駐車場――

蓮は車から降りてくる人物の姿を認めると、さりげなく歩調を速めた。だが、その些細な変化は相手にすぐに見透かされた。

「先に着いたって無駄だよ。紬は君にはついて行かない」

夜勤明けの峥は軽く笑みを浮かべながら、自身も歩みを速めた。その間にも、彼はスマホを取り出して紬にメッセージを送っている。

二人はほぼ同時にエレベーターホールに到着した。蓮は峥のスマホの画面をちらりと盗み見し、たちまち胸の奥がざわついた。

前回、紬にブロックされて以来、蓮は未だにブラックリストから解除されておらず、電話一本かけることすらできないのだ。

「後で君は退院手続きをしてくれ。僕は...

ログインして続きを読む