第百八章

二日後。依然として紬の消息はつかめず、蓮の苛立ちは募るばかりだった。全身から「近寄るな」というオーラを放っている。

社内の人間は誰一人として彼に近づこうとせず、事情を知る小林秘書だけが、毎日冷や汗をかきながら進捗を報告していた。

その日、小林秘書が報告をしている最中、突然社長室のドアが開かれた。

「蓮」

現れたのは雪乃だった。紬が姿を消して以来、彼女の蓮に対する呼び方は変わっていた。

蓮は彼女を一瞥し、すぐにパソコンの画面へと視線を戻した。

「家で待っていろと言ったはずだが。何をしに来た」

雪乃は彼には答えず、小林秘書へと顔を向けた。

「少し席を外して。蓮と二人で話があるの」...

ログインして続きを読む