第11章

女の甘ったるい声を聞き、紬は思わず眉をひそめた。そして、その首筋に残る薄紅色の痕が、ひどく目に障った。

唇を強く噛み締め、蓮をじっと見つめる。ただただ滑稽に思えた。

「白石さん、私がいるから気まずいのかもしれません。お邪魔してしまって……」

雪乃は困ったように眉を寄せ、いかにも無害で可憐な様子を取り繕う。その瞳には、今にもこぼれ落ちそうな涙が光っていた。

蓮は険しい顔つきだったが、その言葉を聞くと、雪乃の肩をそっと抱き寄せて優しい声をかけた。

「君は悪くない」

「紬、自分が一ノ瀬の奥様だという立場をわきまえろ。結婚のとき、うまく合わせると約束したはずだ。今さら反故にする気か」

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