第百十一章

「峥、今どこにいる?」

電話がつながるなり、古見寿徳の焦ったような声が飛び込んできた。腰を下ろしたばかりの峥は、即座に異変を察知する。

「どうした? 今ちょうど手術が終わったところで、まだ病院にいるが」

「なるほどな。道理でまだ見てないわけだ」

「見てないって、何をだ?」

「ネットを見てみろ。誰かがデマを流したみたいで、今、紬に関する根も葉もない噂で持ちきりになってる……」

その言葉に、峥はすぐさまパソコンのブラウザを立ち上げた。大手サイトのあちこちに紬の名前が躍っており、中でもいくつかの記事が爆発的に拡散されている。

記事の内容はこうだ。紬が金持ちにすり寄るため、自ら堕落して...

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