第36章

少し離れた場所から、蓮は紬の背中をじっと見つめていた。やがて、ゆっくりとその後を追う。

オークション会場に戻ると、先ほど展示されていたジュエリーの競りが始まっていた。すでに価格は五百万に達している。

蓮は一瞬だけ思案し、おもむろにパドルを挙げた。

「八百万」

「八百万! 八百万、一回!」

予想外の高額な入札に、オークショニアの目がパッと輝く。

隣にいた紬も、蓮の提示した額に目を見張った。その品は、彼女自身も先ほどからずっと気になっていたものだった。

それを今、蓮が大金をつぎ込んで落札しようとしている……。

紬の胸の奥に、ほんのわずかな期待が芽生えた。そっと視線を横に向け、隣の...

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