第40章

蓮は呆然と立ち尽くした。名状しがたい感情が胸に込み上げ、すべての言葉が喉の奥につかえて出てこない。

紬が背を向けて去っていくのを見つめる。その背中は、今にも倒れそうなほどに細く、頼りなかった。

無意識に手を伸ばしたが、掴んだのは虚空だけだった。

もしかして、彼女を誤解していたのか?

その考えが頭をよぎるなり、蓮はそれを力ずくで押さえ込んだ。

あり得ない。あの女は昔から哀れみを誘うのが上手い。危うく騙されるところだった。

紬は部屋のドアを閉めると、背中を扉に預けたまま、ずるずると床へ崩れ落ちた。

膝を抱え、腕の中に顔を埋める。もう堪えきれなくなった涙が、とめどなく頬を伝い落ちた。...

ログインして続きを読む