第44章

紬の手がふと止まり、すぐに何事もなかったかのようにみかんの皮を剥き続けた。

「ううん、おばあちゃん。彼、私にすごく優しくしてくれてるよ」

キヨはため息をついた。

「おだてて誤魔化そうとしなくていいんだよ。私は年を取っただけで、目が節穴になったわけじゃない。あんたたち二人がどういう状況かくらい、見ればわかるさ」

紬は綺麗に剥いたみかんを差し出した。

キヨはそれを受け取ったが、口には運ばず、ただ手に握ったまま彼女を見つめた。

「この数年、辛い思いをさせたね」

その一言で、紬の目から涙が溢れそうになった。

必死に堪え、瞬きをして涙を押し殺すと、顔を上げてキヨに微笑みかけた。

「お...

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