第69章

紬の手にある写真をはっきりと目にし、蓮は一瞬だけ呆然とした。そこに写っているのは紬と彼女の母親で、二人は抱き合いながら満面の笑みを浮かべていた。

「よく見えた?」

紬は写真立てを手にしたまま椅子に腰を下ろし、顔を上げて蓮と視線を合わせた。

「母が亡くなる前、この画廊は私の名義に変更されたの」

「だから、売るか売らないかは私が決めることよ」

場の空気が一瞬にして張り詰める。視線を交える二人を見つめながら、雪乃は口元に微かな笑みを浮かべた。

どうやら、紬はこの画廊に強い思い入れがあるらしい。それなら、何としてでも手に入れなければ。

「ごめんなさい、紬さん。お母様の画廊だなんて知らな...

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