第70章

話し声で目を覚ました紬は、ゆっくりとまぶたを開けた。視界に広がったのは真っ白な天井。そして、嗅ぎ慣れた消毒液の匂いが鼻を突いた。

「紬、やっと気がついたのね」

ベッドの傍らでずっと付き添っていた想那が、弾かれたように立ち上がった。彼女は半分本気で、半分冗談めかして言う。

「本当に死ぬかと思うくらいびっくりしたんだから。無事でよかったけど、一歩間違えたら私の一生のトラウマになるところだったわよ」

「そうだ、気分はどう? どこか苦しいところはない?」

紬は微笑み、小さく首を振った。

「大丈夫。そんなに心配しないで」

自分でも、あんなに突然倒れるとは思っていなかった。あの時、たまたま...

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