第83章

「峥、本当に大丈夫。ただの持病だから」

紬はなんでもないことのように、わざと明るく笑ってみせた。

「でも、言う通りにもう一度検査は受けるから、安心して」

その様子を見て、峥の胸の奥がちくりと痛んだ。二秒ほど沈黙し、探るように尋ねる。

「蓮に連絡しようか?」

蓮が良き夫とは言えなくても、今の紬には彼が必要だろうと思ったからだ。

「いいの」

紬の声は微かだったが、その瞳にははっきりとした拒絶の色が浮かんでいた。

「顔を見たくないし、どうせあの人は来ないわ」

その言葉に峥は一瞬だけ呆然とし、やがてベッド脇の椅子に腰を下ろした。

「喧嘩でもしたのか?」

「ううん」

「あいつに...

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