第84章

突然の出来事に、紬はハッと我に返った。眠気など一瞬で吹き飛ぶ。まさかこんなタイミングで蓮と顔を合わせることになるなんて。五日ぶりに見る彼は、どこか変わったようにも見えたが、よく見れば何も変わっていない気もした。

今の蓮は、明らかに怒気を孕んだ顔をしていた。氷のように冷たい視線が、紬の頭に置かれた峥の手に突き刺さる。今にも飛びかかって、その腕をへし折りかねない勢いだった。

「藤城さん、どうやら俺の警告を忘れたようだな」

峥はその冷ややかな視線を真っ向から受け止め、まるで聞こえなかったかのように、二秒ほどの沈黙のあとに身を起こした。

「紬が倒れたんだ。俺はただ介抱していただけだよ」

二...

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