第85章

場の空気が再び凍りついた。紬は目の前の男を静かに見つめながら、彼のことなど何一つ理解していなかったのだと痛感していた。

だからこそ、こんな結末を迎えたのだろう。彼も彼女を知らず、彼女も彼を知らない。互いを理解していない二人が、うまくいくはずなどなかった。

「蓮、聞いてもいい? どうして離婚したくないの」

紬は真剣な眼差しを向け、淡々とした口調で言った。

「あのとき、ちゃんと確かめなかった私が悪かったわ。あなたに好きな人がいないって勝手に思い込んで、嫁いだんだから」

「でも雪乃が戻ってきた今、これ以上こんな結婚生活に耐えたくない。あなたと関わり続けるのもごめんよ」

「結婚して三年、...

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