第86章

今回の発作は突然だった。それに加え、体調も日に日に悪化していたため、紬は入院して治療を受けることを余儀なくされた。

その間、蓮が一度見舞いに訪れた。しかし、二言三言交わしただけでまた口論になり、結局彼は腹を立てて帰ってしまった。

なぜ彼が離婚を渋るのか、紬には理解できなかった。これ以上、夫婦関係を続ける気など毛頭ない。だからこそ、入院中も弁護士と連絡を取り合い、離婚訴訟の準備を急いでいた。

「白石様、ビザは明後日には発給されます。出国されるのでしたら、そろそろご準備を進められたほうがよろしいかと存じます」

電話越しの担当者が親切に教えてくれる。紬は、病室のドアを開けて入ってきた看護師...

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